礼拝説教

光は沈まない

8月9日 聖霊降臨後第11主日


教会には、十字架やPX、αとΩなど、さまざまなシンボルがあります。その一つが「舟」です。創世記のノアの箱舟のように、舟は神が人々を守られる場所、そして教会そのものを表すものとして親しまれてきました。

今朝の福音書にも舟が登場します。五千人の給食の後、イエスさまは弟子たちを舟に乗せ、先に向こう岸へ行かせました。ところが湖上で嵐が起こり、漁師である弟子たちでさえどうすることもできなくなります。そこへイエスさまが湖の上を歩いて来られ、「安心しなさい。わたしだ。恐れることはない」と語られます。

ここでマタイ福音書だけが、ペトロも水の上を歩いたことを記します。ペトロは「主よ、あなたでしたら、わたしに命令して、水の上を歩いて御もとに行かせてください」と願い、イエスさまの「来なさい」という言葉に従って舟から歩み出します。しかし、強い風を見た途端に恐れ、沈み始めました。

私たちも同じではないでしょうか。神を信頼して一歩を踏み出しても、すぐに不安や疑いに心を奪われることがあります。しかし、イエスさまは沈みゆくペトロの手をすぐに取られました。「信仰の薄い者よ」という言葉も、ペトロを責めるためではなく、信仰が揺らぐその時にも、「主よ、助けてください」と叫んでよいことを示しているのではないでしょうか。

私たちには、できないことも、迷うことも、恐れることもあります。それでも主に信頼し、助けを求めながら歩んでいく。その歩みこそ信仰なのだと思います。

広島、長崎への原爆投下から長い年月が経ち、戦争を直接経験した方々も少なくなっています。だからこそ私たちは、「主よ、助けてください」と問い続け、平和を求める歩みを止めてはならないでしょう。

教会は舟です。ここで安心と勇気を与えられ、またそれぞれの場所へ歩み出し、疲れたなら再び帰ってくる。すべての人を受け入れるこの舟から、私たちもペトロのように主を見つめ、「わたしをそちらに行かせてください」と歩み出してまいりましょう。

PAGE TOP